きみはポラリス、いつかのポラリス

【きみはポラリス、いつかのポラリス】

「北極星」と呼ばれる星は、実は、時代によって、常に入れ替わり続けているのだそう。
昨日、プラネタリウムを観て、この事実をはじめて知った。
「え、そうなの?」と衝撃を受けると同時に、どういうわけか涙がこぼれた。

Q:昔は別の星が北極星だったって本当ですか?

A:そのとおりです。現在の北極星は、こぐま座のアルファ星という2等星ですが、今から5000年ほど昔、ピラミッドが作られた時代には、りゅう座のアルファ星のツバンという3等星が北極星だったのです。では、どうして時代によって北極星はかわってしまうのでしょう?

北極星は、北極を地球の自転軸にそってのばした先(天の北極)にある星です。実は、地球の自転軸の方が長い間にその向きを変えてしまうのです。地球には月や太陽などの引力がはたらいています。このために、ちょうどまわっているコマが首をふるように、地球の自転軸も周期約26000年で首ふり運動(歳差運動)をするのです。

5000年前、地軸の北極の向きにもっとも近くて明るい星はツバンでした。そして、今もっとも近いのはこぐま座のアルファ星、現在の北極星です。今から12000年後には、おりひめ星で有名なこと座の1等星ベガが北極星として北の空に輝くこととなります。

(国立科学博物館「宇宙の質問箱」より https://www.kahaku.go.jp/exhibitions/vm/resource/tenmon/space/seiza/seiza03.html

小学3年生のある夜、父に教えられて、生まれてはじめて北極星の存在を確認した。

「北斗七星はわかるよね?
その柄杓のいちばん端っこにある2つの星の間の距離を測ってごらん。
それをちょうど5倍に伸ばした先にあるのが、北極星だよ」。

ワクワクしながら「いち、に、さん、し、ご……」とやって、いざ、その星を見つけた時には、正直、ちょっぴりがっかりした。
「お空の真ん中に君臨するにしては、ずいぶん地味で目立たない星だな……」
そんなことを思ってしまったのだ。

26000年周期の北極星の入れ替わりの軌道上には、現在の北極星(こぐま座のアルファ星)のような2等星もあれば、それよりも明るい星もある。
でも、たいていは、3等星にも満たないような、暗くて控えめな星ばかり。

それでも、その輝きが、私たちの目に明るく映っていても、そうでなくても、
巨大な円形の軌道上にあるすべての星が、
これまで、間違いなく「北極星」としての役割を果たしてくれていたし、
これから先も、私たちの行く先を照らし続けてくれることは、変わらないのだ。

涙の理由がわかった。

私がこれまで出合ってきた無数の人たち。
その誰ひとり欠けることなく、間違いなく、すべての人が、
私にとっての「北極星(ポラリス)」だったのだ。

奇しくも昨日は私の40歳の誕生日。

私がここまで、とんでもなく曲がりくねりながらも(笑)
こうしてなんとか生き延びることができたのは、
その時々に、ポラリスの役割を引き受けて、
影に日向に、私を導き続けてくれた、無数の人々の存在があったから。

それにすら気づかないフリをして、
強情に、傲慢に生きてきた、幼い自分の姿に涙が出る。

でも、この涙は、苦しいだけの涙じゃない。
もう会うことは叶わない、大切な「彼ら」の存在が、
いまでも私の道を照らし続けてくれていることを知ることができたから。

もう、ひとりで生きているような顔なんかしないよ。

ありがとう。
ありがとう。

出合ってくれた、ひとりひとりに、感謝を込めて。

思い出した。
私の名前「遥子」の由来は、
「遥か遠く輝く星々のように、人々に光を届けられるような子になって欲しい」
という両親の願いから、だった。

私も、誰かの、いつかの、ポラリスであれるよう。
瞬間瞬間を、生き切っていくよ。

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