小さい頃、お風呂でよく「タオル風船」(もしくは「タオルくらげ」)を作って遊びませんでした?
湯船にタオルを広げた状態で浮かべます。
その下に両手を円の形にしてくぐらせて、そうっと持ち上げます。
するとタオルに空気が入ってふくらみます。
そのふくらんだ部分の周りを、今度は外側から両手で囲うようにして握っていきます。
中の空気が集まって丸まり、てるてる坊主のような形になったら完成です。
「私」や「あなた」や「彼」や「彼女」というもの、
つまり、「個」というものを思うとき、
私は、いつも、このタオル風船のことを考えるのです。
ほんとうは、世界には「私」も「あなた」も「彼」も「彼女」もなく、
すべて、ひとつらなりの、それこそ一枚の布のようなものとして、存在しているんです。
あるとき、なにかのはずみで、その一枚布の一部がぎゅっと握られます。
すると、そこには、
「私」や「あなた」や「彼」や「彼女」という名のタオル風船が生じるのです。
でも、ぎゅっと握った両手を離せば、
タオル風船はあっという間にほどけて、
元の一枚布に逆戻りです。
「ほんとうはすべてつながっている」
このことを理屈を超えたところから理解したとき、
そこには、かつて味わったことのない、とてつもない安心感が訪れます。
その安心感の中でゆったりと生きていきたいのなら、
ぎゅっと握りしめていた両手を、思い切ってぱっと広げてしまうこと。
「個」という幻想を形作っているのは、
ほかでもない、「自分」の両手なのかもしれないよ?
今日もゆったり生きていこう。
どうか、よき日を!