TANDEN道は、NINGEN道。
ここについて、
もう少し言葉の精度を上げて考えてみました。
前回のブログでは、
「ヒト」が、「人間」として生きる道、
それがそのまま、TANDEN道。
TANDEN道は、NINGEN道です。
と書いたのですが、
これじゃ、ぜんぜん、言葉が足りない。
っていうか、このままだと、
「社会的な生き物として生きなさい。
理性的に生きなさい。
道徳的に良しとされる生き方をしなさい。」
という「くだらない」お説教(おっと失礼!)
として受け止められて、そこで話が終わってしまう……。
と思ったので、どうしたら本意が伝わるのか、
ネチネチと(笑)考え続けた結果、あらためて説明し直すことにしました!
で、思ったんですけど、そもそも、
「ヒト」か、「人間」か、
の二択で話をしようとしたことに無理があった。
もうひとつ、「NINGEN」っていう、
あたらしい概念が必要だったんです。
ここでおさらい。
「人」には、大きく分けて2種類の呼称があります。
そう、「ヒト」と、「人間」です。
「ヒト」っていうのは、学術的な分類としての、動物の名前。
理性か本能かで言えば、本能優位の存在。
一方「人間」っていうのは、社会的な生き物としてある存在の呼称です。
理性か本能かで言えば、理性優位の存在。
人は、「ヒト」として生まれて、
成長していくにしたがって、徐々に「人間」になっていく。
大人になるにしたがって、少しずつ社会性を身につけて、
理性的に振る舞うことができるようになっていくんですね。
人は、ずっと「ヒト」のまま(=赤ちゃんの意識のまま)で生きていくことはできない。
いつかは「人間」になる時を迎えなきゃいけないんです。
そうそう。
これは最新の神経理論で言われていることなんですけれど、
人は、生まれたての赤ちゃんの頃(「ヒト」そのものだった頃)は、
背側迷走神経っていう、脳の中の背中側(&下側)を出発地点とした
副交感神経のみしか使えないんですって。
背側迷走神経っていうのは、ざっくり言えば、
ひとりでいる時に感じるリラックスを作り出す神経。
それが、成長していくにしたがって、徐々に、腹側迷走神経という、
脳の中のお腹側(&上側)を出発地点とした副交感神経も発達してきて、
他者との関わり合いの中でもリラックスを感じられるようになる。
こうやって、人は、少しずつ、
両方の神経を使えるようになっていくんですって。
これを逆に言うのなら、
私たちは、生まれたての赤ちゃんだった頃は、
完全に「ひとり」でリラックスできていたってこと。
社会の中での、他者との「つながり」を感じなくても、
完全に「ひとり」で充足していたってことです。
私はね、ここで言う「ひとり」っていうのは、
大勢の中の「一人」のことじゃなくて、
自分と他者の区別のない、
もっと言えば、自分と世界の間の区別すらない、
まったくの「ひとつ」としての世界のことだと思っているんです。
生まれたて(完全に、生まれた瞬間のみ、ですが……)の赤ちゃんの世界には、
分離・分断がないから、そもそも「孤独」という概念すら存在しない。
「ヒト」の世界に、「孤独」はない。
つまり、「人間」が「人間」として生きる上での根源的な苦しみは存在しない。
「孤独」というのは、自分以外の他者の存在を認めることで、
はじめて生まれる感覚だからです。
「大人」になるということは、「ヒト」から「人間」になるということ。
そして、それはそのまま「孤独」を知っていく過程でもあります。
「孤独」だからこそ、人間は、他者とのつながりを求めます。
自分という存在を分かって欲しい。認めて欲しい。愛して欲しい。
承認欲求の誕生です。
その欲求が常に満たされるのならば問題はないのですが、
ざんねんながら、なかなかそうはならないのが世の常です。
なぜなら、私とあなたは、まったくの他人だから。
違う生き物同士が「完全に」分かり合えることなんか奇跡です。
つまり、そんな感覚が生まれることなんか、ごく稀だということ。
求めても、与えられずに、傷つくことの方が多いのです。
生まれたての赤ちゃんの頃(完全に「ヒト」だった頃)は、無条件のつながりの中に、
つまりは無条件の安心・安全感の中に身を浸していたのに、
成長するに従って、それを忘れてしまって、
条件付きの「つながり」しか感知できなくなってしまう。
そうして、
「つながり合いたいのに、つながり合えない」という、
人間ならではの苦悩を抱えることになるんですね。
でも、どうか安心してください。
「ヒト」時代に直覚していた無条件のつながりの世界、大安心の世界は、
「忘れてしまった」だけであって、
決して「消えてしまった」わけではないのですから。
ただ、それを、個人としての「人間」が、
意識の上で感知することはできないんです。
でも、個人の意識が感知できなくても、それは、「ある」。
身体レベル、神経レベルで、
無意識のうちに、すでに、必ず、感じられているんです。
すでに、必ず、です。
だから、そこに「おあずけ」してしまえばいい。
難しい理屈は一切抜きにして、すべてを、その事実にゆだねてしまうんです。
「おあずけ」のスイッチは、人の肉体で言うなら、
上か下かで言えば「下側」、そして前か後ろかで言えば「後ろ側」にあります。
(これは、最新の神経理論にも一致しますね。)
かなり乱暴なまとめ方になりますが、
あえて図解するならこんな感じになるかな。
人の肉体を、あえて4つに分類するなら、
上側(=頭蓋骨側)、そして、前側(=お腹側)が「人間」の領域、
下側(=骨盤側)、そして、後ろ側(=背中側)が「ヒト」の領域、
ということになります。
人が、完全に「ヒト」だった頃の、感覚以前の感覚に、
自己意識を「おあずけ」したいのならば、
人が、完全に「ヒト」だった頃の、感覚以前の感覚に、
自己意識を「おあずけ」したいのならば、
「人間」として生きる上で主に使っている、
上側(=頭蓋骨側)と前側(=お腹側)の領域を休ませて、
普段なかなか意識することのない、「ヒト」時代のメインパート、
下側(=骨盤側)と後ろ側(=背中側)の領域を活性化させてしまえばいい。
だからこそ、TANDEN瞑想では、ガイダンスの最初の方に、
自分の骨盤と、自分の後ろ側の空間を意識するプロセスを入れているんです。
自分の骨盤と、自分の後ろ側の空間に、
すべてをゆったりとゆだねてしまうようにしていると、
自然に、心身がリラックスしてきます。
心地よいリラックス感の中で、ただ、深い呼吸を繰り返していると、次第に、
おなかを起点にして「あったかくて、やわらかくて、ひろがっていく」ような感覚が生まれて、
同時に、自分の身体が、「全体性」を取り戻していくのが、
理屈を超えて理解されていきます。
すると、少しずつ、上も下も、前も後ろもなくなって、
(そういった区別をつける必要性がなくなってくる)
「ひとつ」のいのちとして、ただ、ここにある「自分」の姿が見えてくる。
「ヒト」と「人間」とが統合されて、
「NINGEN」という完全体が生まれるのです。
「ヒト」だけでもない、「人間」だけでもない、
その「あわい」にただ存在する、
「NINGEN」という、なつかしくてあたらしいあり方。
「ヒト」時代に無意識のうちに感じていた、
「わたしはあなた」「あなたはわたし」という世界。
「つながり」という言葉もいらないぐらい、
当たり前につながり合い、すべてが、ただ「ひとつ」としてあった世界。
ここに自己意識をゆだね切ってしまった時、
「個」として生きている人間としての「私」から見える世界にも、
おのずから変化は生まれてくる。
すべてが、当たり前に、
つながり合って、生かし合って、支え合っている、
とてつもなく優しくて、あたたかい世界。
その優しさ、あたたかさを、自然に感じられるようになる。
ここにおいて、「私」の振る舞いも、
おのずから、優しさとあたたかさを持ったものに変わっていきます。
なんか知らないけど、そうなっちゃうんです。
そうならざるを得ないんです。
もちろん、一度「おあずけ」しておしまいじゃない。
何度も、何度も、人は、つながりを見失います。
でも、大丈夫。
そのたびに、ただ、立ち返ればいい。
それは、決して、失われてしまったわけではないのだから。
いつだって、ここに、あるのだから。
これが、「あわい」を生きる、「NINGEN」としての道。
「全」としての、「ヒト」としてのあり方。
「個」としての、「人間」としての生き方。
どちらかを切り捨てて終わりじゃない。
そもそもそんなことはぜったいにできない。
だって、
それら「ふたつ」は、「ひとつ」として、同時にあるから。
そして、
人として生きる上での最大の希望も、ここに、同時にある。
人である私たちは、
ヒト時代に感じていた本来的なつながりに、
心と体のまるごとを「おあずけ」して、
時に人間臭い感情に飲み込まれたりもしながら、
「あわい」の存在として、ここにあるよろこびを、
毎瞬、毎瞬、ただ、ていねいに味わって、
優しい気持ちで生きていくこともできるんだ。
TANDEN道は、NINGEN道。
NINGENの道は、よろこびの道。
人として生きているって、それだけで、なんて幸せなことなんだろう。
なんて豊かなことなんだろう。
なんの強がりも力みもなく、
そんなふうに思えるようになれたことが、
私は、ただ、うれしいのです。
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