STOP! 本当の自分探し

2014年10月31日

たとえば昨日、私が30人の方と顔を合わせたとする。

 

するとそこには、60人の「小出遥子」が生じることになる。

 

 

 

……説明します。

 

Aさんが見た「小出遥子」と、Bさんが見た「小出遥子」、Cさんが見た「小出遥子」はそれぞれまったくの別人格を持っています。

 

さらにそこに、Aさんと接する「小出遥子」と、Bさんと接する「小出遥子」、Cさんと接する「小出遥子」という、それぞれまったくの別人格を持った存在が加わります。

 

すると……

 

30+30=60

 

60人の「小出遥子」の誕生です!

 

 

 

……これ、ちょっと、驚きではないですか?

 

ていうか、大変な事態ですよ、これ。

 

「小出遥子」が、一人じゃなかっただなんて!!!

 

うえ~ん。こんなこと、学校じゃ誰も教えてくれなかったよ~~~。

 

 

 

でもね、これ、なにも私に限った話ではなくて(私が多重人格者だとか、そういう単純な話なのではなくて)、この世に生きる全員に、もれなく起こっていることなのだと思う。

 

 

 

なんでこんなことを考えたかと言うと、ここ最近、随分な数の人たちと会ったからで。

 

家族。親族。小学校時代の友人。中学校時代の友人。高校時代の友人。予備校時代の友人。大学時代の友人。現在の友人。新卒で入った会社の人。次の職場の人。いま一緒に仕事をしている人。あたらしく出会った人……

 

彼・彼女たちに会ったのは、この、「小出遥子」という名前の付けられた、この、たったひとつの肉体を持った、この、一個の存在であるはずなのに、そこには、事実、無数の「小出遥子」がいたことに、私は、心底驚いてしまったのだ。

 

彼・彼女らの思う「小出遥子」と、彼・彼女らと接する自分自身の思う「小出遥子」。

 

それらはまったく統合されておらず、それぞれ微妙に、場合によっては大幅に、違った人格を持った存在となっていたのだった。

 

 

 

本当にびっくりした。

 

そして心底思ったのだ。

 

「本当の自分」なんて、まったくもって幻想だ! と。

 

 

 

よく、「いまの彼氏と一緒にいると、“本当の自分”でいられるんです~」とか、「いまの職場では、“本当の自分”が出せないんだよ……」とかいう話を聞くけれど、そして私自身、いままでの人生において、幾度となくそういった趣旨の発言をしてきたように思うけれど……でも!

 

その「自分」の正体を、あなたは本当に見極めていますか? というお話で。

 

 

 

人からみた「自分」や、自分から見た「自分」なんて、たとえるならば、空に浮かぶ雲のようなもので。

 

白い雲も、黒い雲も、生じては消えゆく実体のないもの。うつりゆくもの。無常なもの。

 

対して、それらの雲を浮かべる「空」は、いつだって変わらずそこにある。空こそが、唯一の実体。常なるものだ。

 

私たちは、この、雲の方を「自分」だと思い込んでしまいがちだけど、本当の「本当の自分」(ややこしや~)は、空、そのもので。

 

 

 

それに、自分が「これこそが本当の自分だ!」なんていう風に思い込んでいる人格は、その時々の「自分好みの人格」にすぎないのだ。

 

しかも、その「好み」だって常にうつりゆく。

 

中学生の頃大好きだったキャラクターがばっちり印刷されたペンケースを、いまでも「大好き!」という感情とともに使えますか? 5年前に気に入ってよく着ていた服を、いまでも好んで着られますか? ってこと。

 

 

 

自分が「自分」だと思っているものが、浮かんでは消えゆく雲のような儚い存在に過ぎないのならば。

 

雲の中から「本当の自分」を探すことなんかさっさとあきらめて、その時々に現れ出てくる「自分」と、仲良くしてみたっていいんじゃないかな、と思いました。

 

そっちの方がずっと楽だし、ずっとずっと面白い人生が送れそうだ。

 

 

 

 

 

無数の「自分」の中から「本当の自分」を求めて右往左往している雲としての自分を、その後ろから穏やかに見つめる空としての自分、それこそが、本当の「本当の自分」です。

 

そして、本当の「本当の自分」は、たったひとつ。

 

Aさんの本当の「本当の自分」と、Bさんの本当の「本当の自分」と、Cさんの本当の「本当の自分」と、私、小出遥子の本当の「本当の自分」と、あなたの本当の「本当の自分」は、まったく、たったひとつの同じ存在です。

 

空、それ自体が、たったひとつの同じ存在であるように。

 

たったひとつの、空そのものである、本当の「本当の自分」に気づいた瞬間、果てしない自分探しの旅が終わります。

 

 

 

手始めに、いま、この瞬間の「自分」と、仲良くしてみましょうか。