おはようございます。小出遥子です。
こんなたとえ話を聞いたことがあります。
修行者たちが、森の中で熱心に瞑想をしていました。
すると、一番熱心な修行者の近くに毒蛇がやってきました。
その人は毒蛇の姿を認め、どきっとしました。
全身から嫌な汗が噴き出してきます。
しかし、「修行者たるもの、こんなことでうろたえてはいけない。
起こることが、ただ、起こっている。それが真実なのだから……」と言って
内心焦りまくりな自分を鎮めるべく、目を閉じて瞑想を続けました。
数分後、その人は毒蛇に噛まれて死んでしまいました。
……切なすぎるお話です。
そして、ことばで観念を持ち運ぶことの危なさと愚かしさを
同時にあらわしているお話でもあります。
「起こることが起きている」というのは真実です。
でも、ことばでその観念を持ち運んでしまうと、人間って、
そこから「自分」を排除してしまう傾向があるんですよね。
毒蛇が自分の近くにやってきたら、
そりゃあ誰だって焦るし、嫌な汗をかくし、
「逃げたい!」「逃げなきゃ!」と思うはずです。
そう思ったのなら、それに従って全力で逃げていいんです。
それが自然な反応です。
自然な反応が、ただ、起こってくるんです。
それこそが真実です。
だけど、あたまだけで真実をとらえようとすると、
毒蛇に噛まれて死んでしまう、ということが起きてくる……。
これは、あまりにも滑稽な悲劇です。
「さとった自分が真実を眺めている」のではなくて、
「自分と真実はいつだってともにあることをさとる」
こっちが、正解なのだと思います。
毒蛇から逃げている自分さえ、真実とともにあるのです。
真実から自分を排除して、死んでしまいませんように。
自戒を込めて。
よい一日をお過ごしください◎