【詩】わたしは、いるよ

2020年1月25日

わたしは、いるよ。

朝の無限の光の中に。
生まれたての赤ん坊の産声の中に。
睦み合う恋人たちの汗の中に。
どこまでも高く響く野鳥の歌声の中に。
無邪気に野に咲く花々と、
その上に置かれた露の中に。
人と人とが手と手をつなぐ、
そのやわらかなぬくもりの中に。

終わりの見えない闇の中に。
老人の最後の一息の中に。
かつての恋人たちの別離の涙の中に。
車に轢かれた野良猫の見開かれた瞳の中に。
一面の焼け野が原と、
その上に降りる霜の中に。
人と人とが争い合い憎しみ合い傷つけ合う、
硬く冷え切ったこころの中に。

わたしは、いるよ。