急激に聴覚が膨張するような感じがし、そして、一気に何かを突き抜けた……。
(あっ……!)
一瞬、耳がつまったような感覚があった。
「――――――――」
突如、だだっ広い場所に、私はいた。
ここはどこだろう?
私をさえぎるものは何もなかった。
手順を間違えてはならないという緊張も、抱え込んだままで常に気にかかっている仕事も、今日帰ったらしなければならない用事も、何もなかった。
自分はもっと頑張らなくてはダメだという思いも、他人から好かれ評価されなければ自分は無価値なのではないかという不安も、人に弱みを見られたくないという恐怖感も、消えていた。
とてつもなく自由だった。生暖かい大粒の雨を、肌に痛いほど激しく浴びているかのようだ。嬉しくて楽しくて、子どものように歓声を上げながら、目も開けられないほどのどしゃぶりの雨に洗われているみたいだ。こんな自由、今まで知らない。
どこまで遠くへ行っても、そこは、広がった自分の裾野だった。
ずーっとここにいたし、どこかに行く必要もなかった。
してはいけないことなど、何もない。
しなければいけないことも、何もない。
足りないものなど、何もない。
私はただ、いるということだけで、百パーセントを満たしていた。
(『日日是好日 ―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ―』 森下典子=著 新潮社=刊 より抜粋)
私の大好きなエッセイ集『日日是好日』が映画化されたので、
しかも、女優さんが、樹木希林さん、黒木華さん、多部未華子さんと、
これまた大好きな方々ばかりだったので、
昨日、さっそく観に行ってきました。
ひとつひとつの描写がとても丁寧でうつくしく、
しみじみと「いい映画を観たなあ……」という感想です。
お茶って、いいなあ。
また習いたくなりました。
(私、カフェインが効きすぎる体質で、
お抹茶を何杯もいただいたお稽古の日の夜は
マジでほとんど眠れなくなっちゃうので、
教室をしばらくお休みしているんです……。)
茶道とか、書道とか、あるいは武道とか、
はたまた仏道とか、神道とか……。
そういった「◯◯道」というのは、
大元のところではまったく分かれていなくて、
実は、すべて、同じ、ひとつの「道」なのかもしれない。
なんの道?
いのちの、道です。
エッセイや映画のタイトルとなった
「日日是好日」ということばですが、
(「にちにちこれこうじつ」と読むそうです)
これ、あたらめて、深いことばだなあ、と……。
一日一日が、まったくあたらしい日。
一瞬一瞬が、まったくあたらしい「いま」。
いま、いま、いま、いま−−
永遠のいまだけが、永遠のいのちだけが、ただ、ここにある−−
まさしく、
どこまで遠くへ行っても、そこは、広がった自分の裾野だった。
ずーっとここにいたし、どこかに行く必要もなかった。
してはいけないことなど、何もない。
しなければいけないことも、何もない。
足りないものなど、何もない。
私はただ、いるということだけで、百パーセントを満たしていた。
そんな世界。
それは、決して遠く離れた理想郷なんかじゃなくて、
いつだって「いま・ここ・自分」とともにあるのだ、と……
真摯に「道」を歩んでいると、
ふいに、そんな気づきがやってくるのでしょう。
まさしく、いのちの道ですね。
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